あの夢の続き

まだ眠いの?

雨の夜と銭湯!の巻

台風が来ている。雨である。

阿含の実家は都内の風呂なしアパートであった。
当然お風呂が無いため銭湯に通うことになる。
もちろん雨の日も同様である。冬はまだしも夏は入らないわけにはいかない。
以前は髪にワックスをつけていたため毎日お風呂に入って髪を洗う必要があったし。
(いまはお湯で流すだけ。いわゆる湯シャンです。)

何度か実家の狭い洗面台兼キッチン兼手洗い場でシャンプーを試してはみた。
洗えるけどすすげない。すすぐには大変な苦労を要する。下を向いて蛇口の下に頭を突っ込んで水を流すわけ。あたりがびちゃびちゃになる覚悟と後始末が必要なのである。
あと鼻に水が入る覚悟もだ。


それで。遊びに行って遅く帰ると銭湯が閉まってしまい入りそびれることも多々あった。
だから銭湯の閉店時間から逆算し帰る時間を調整していた。
友達になぜ終電まだなのに帰るのかと聞かれた時は正直に答えられなかった。
お風呂が無いことが恥ずかしいことのように思えて。


銭湯行ったことありますか?
駅から自宅に帰って地元着に着替えてお風呂セット持ってチャリ乗ってくわけです。
(お出かけ着でもいいけど浮くんですわ)
そう、雨でも。雪でも行かなきゃならん。
お風呂屋さんにも定休日あるし。
そうそう、定休日忘れてて真っ暗な銭湯にたどり着いた時の絶望ったらもう。


だから遅くまで遊べるように閉店時間の遅い銭湯を探したりもした。
阿含の実家近くの銭湯は閉店時間が早かった。
遅く帰ると深夜までやってる少し遠い銭湯のほうに行った。自転車でゆっくりいって10分くらい。雨の日はどうしてたんだろ。諦めてたかも。
それで、雨の日はツラいんだけど、雨が降ってない時はお風呂上がりの自転車って結構たのしいんです。
お風呂上がりに自転車乗った経験がある人って少ないかな。
夏なんかとっても気持ち良くて。
夜風が心地よく、コーラ飲んで帰ったりすると最高だった。
春もあったかくて秋だって爽やかで、冬も銭湯の大きな浴槽でしっかりあったまってるから寒くなくて。
そんな帰り道が好きだった。
お風呂が無いのは確かに不便だったけど、季節の移ろいを感じることができたし夜に自転車乗ってゆっくり家へと向かうあの時間は贅沢だったんじゃなかろうか。



今日は既存さんからメンテ希望が来て待ち合わせてたけど落ち合いがグダグダだったから
「具合わるくなったので帰ります」
と打って帰ってきた。

ふと、こんな虚しい夜に雨の降る窓の外を見ていたらそんな銭湯の想い出が蘇りましたとさ。


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追伸
深夜までやってる銭湯は午前1時閉店であった。割と元気だけど背中の曲がったお婆さんと年老いたお爺さんが店主であった。いちど、「ここは何時閉店なんですか?」と聞いたことがあった。腰の曲がったお婆さんは言った。「ほんとは12時だけどお客さんが来るから1時まで開けてるの。だってお風呂入りたいでしょ」と。
その時も立派な方だなぁと思ったが今も改めて立派だと感じる。こういう人が報われる社会であってほしい。